修行

真言宗は、即身成仏を目的とした宗教です。人間である私たちは、いろいろな業(ごう)をつくりながら毎日を生活しております。そのような業のある私たちが仏の境地に達する手段として、『三密の行法(さんみつのぎょうぼう)』があります。

身密(しんみつ)
手で仏のいろいろな形の印(いん)を結ぶ
口密(くみつ)
口で仏の真言を唱える
意密(いみつ)
心で仏の徳を念ずる

この三密を実修して、宗教的な体験を得るためには、詳しい法則に従わなくてはなりませんが、もっとも簡単な形は、仏前で合掌して口で真言を唱えて、心で仏の恩徳を思うことです。
このように、仏前において行う信仰行事を有相(うそう)の三密といいます。また、仏前を離れた毎日の生活の上において、身の行いを正しくし、言葉を清くし、心ではいつもよいことを考えているのを無相(むそう)の三密といいます。
この三密行のほかに阿字観(あじかん)という真言宗独特の観法があります。これは即身成仏への近道とされていて、大日如来の霊徳を象徴した阿字を本尊として精神統一いたします。それには、月輪(がちりん)の内に八葉(はちよう)の蓮華をおき、その上に金色の阿字を画いた金剛界と、八葉の上に月輪を置き、その月輪の中に金色の阿字を画いた胎蔵界とがあります。蓮華は私たちの心の中にある仏性(ぶっしょう)の理を象徴し、月輪は仏性を顕すための智を象徴し、阿字は理と智とを一体にした如来を象徴しているのです。この観法ほ実習するためには、良き師を求めて、その指導を受けなくてはなりません。

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